Palmに京友禅だゾウ!

2000/10/01 Update!



Written by NAS芹沢 nasseri@cwa.bai.ne.jp



ノートパソコンやモバイル機器に京友禅アートを施すサービスで有名な「くりすたるあーと」さんにPalmIIIcを持って突撃取材に行きました。
伝統的な京友禅の技法とPalmとが出会い、素晴らしい世界が広がっています。
写真だけではそのすべてをお伝えできないかもしれませんがご覧ください。


目次
「くりすたるあーと」とは?
Palmに京友禅!
作品集&リンク
おわりに



「くりすたるあーと」とは?


林裕峰(はやし・ゆうほう)氏の工房、それが京都にある「くりすたるあーと」です。
林氏は、伝統工芸の京友禅と最新技術である特殊樹脂を使い、Palmやノートパソコンなどのモバイル機器に京友禅アートを施すという技を完成させた、全国的に注目されている京友禅作家です。

詳しくは、大西氏が運営されている下記のサイトをご覧ください。


「くりすたるあーと」
http://member.nifty.ne.jp/cristal/




Palmに京友禅!



今回、私のPalm IIIcのカバーに京友禅を施していただきました。
普段はなかなか見ることのできない、制作途中の写真もまじえてお送りします。


エアーガンで白い雲が!
制作開始。林氏が持っているのはエアーガン(エアースプレー)です。
これで様々な色を吹き付けていきます。


木は筆で丁寧に描かれていく
エアーガンと筆を交互に使い分けながら丁寧に描かれていきます。


下絵無しというのがまたすごい
どんどん黒い平面が立体感のある景色に変わっていきます。


ただただ言葉を失い、無言で見つめてました
林氏の魂がカバーに注がれていきます。


平面なのにどうしてこんなに奥行きが!
手前の木が入りました。
それにしてもはるかな奥行きを感じる絵です。


美しい桜が入りました
そして一番手前には桜が。金色も交えて美しい構成です。


もちろん本物の金を使用
金銀などの細かな飾り付けです。


樹脂を塗ってコーティング
下地となる絵が一通り完成。
特殊な樹脂を筆で全面に塗っていき絵をコーティング。
このとき、キラキラ輝く素材(奥の方にいろんな色の粉?が入った透明の箱が見えていると思います)を混ぜながら塗っていきます。

写真では伝わりにくいのですが、コーティングと飾り付けを交互に何度も何度も行うことによって、物理的な高低も生み出しています。
何度も塗って乾かし、飾りを入れて乾かし、の繰り返しです。



丁寧に乾かしていただいている様子です。
もうすぐ完成・・・


これが完成品です。

完成!

横から見たところ

「お見事!」と言うしかないです。
それ以外に言葉が出ないという感じです。


高低がある表現方法
2枚の桜の花は実は階層が違うので微妙な高低があります。
左の花びらを乗せて特殊樹脂でコーティング、その後右の花びらを乗せてコーティング。
飾りを入れる → コーティングする、この丹念な繰り返しで作られています。

ちなみに、この花びらはなんと「真珠貝」なんですよ!
螺鈿(らでん)職人さんの手によって作られています。
「螺鈿」とは、貝を細工したもののことで、奈良正倉院、桃山時代に溯りますが、シルクロードから伝わったものだそうです。
京都では着物や帯などに使われているのだそうで、私は今回初めて知りました。


今回は、この後のコーナーでも紹介していますが、林氏の京友禅カバーを販売しているオンラインショップ、Vis-a-Visにおけるカバーの値段くらいの費用がかかりました。
はじめに値段だけを見ると「高い」と思うのですが(現に私もそう思っていました)、いざ、目の前で制作するところや実物を見てみると納得してしまいました。
完成度は今さら述べるまでもないでしょう。

林氏は、できればすべての作品はそのお客さんの目の前で作りたい、というのを強く希望されています。
世界で一つしかないものを、それを手にする人の目の前で作る、これは素晴らしいことだと思います。

また、今回は林氏に「すべておまかせ」で京友禅を施していただいたのですが、自分が希望するものを施してもらうことも可能です。
ただこの場合はすぐに目の前で制作・・・というわけにはいかないかもしれません。
もちろん京友禅仕様にできるのは、Palmだけではありません。
ノートパソコンなどを持ち込む方も多いようです。
このように、個人の希望には柔軟に対応していただけるようなので、詳しくは「くりすたるあーと」にお問い合わせください。


ほんとうに、林氏の情熱をいっぱい感じ取ることができた一日でした。



作品集&リンク


同じ日に「くりすたるあーと」に来られていた方々のPalmをカメラにおさめることができましたので記載します。
また、京友禅を施したPalmやその周辺機器を見ることができるサイトへのリンクもまとめてみました。
ご覧ください。


yuukiさんの
yuuki@PUGOさんのPalmです。

金のサソリに水滴のような模様。
水滴のような模様は特殊樹脂の質感をそのまま利用したものです。


はるこKさんの
はるこK@PUGOさんのPalmです。

ちょっと見にくくてごめんなさい。
左上はサクラ、右下は金粉がふんだんに使われています。
でも、派手というわけではなく、気品さえ感じられる一品に仕上がっています。


椿さんの 椿さんの2
椿さんのVisorです。(2000/10/01追加)

椿が大好きな椿さんは、大好きな椿を林先生に描いていただきました。
このように絵柄のリクエストをした場合は、すぐに描くことはできないので後日渡しとなります。
林先生は椿の絵の資料を集めるところからはじめられたそうです。
手間がかかっています。

それにしてもグラファイトVisorの黒色カバーには、京友禅がよく似合います。
Palm IIIcのカバーもそうですが、ベースが黒いと金色が美しいですね。
メインの椿の絵も、実物をお見せできないのが残念なほど素晴らしい出来です。

この椿はお預けしてから10日ほどで完成したようです。
こればかりは林先生のお仕事の都合にもよるでしょうから、この日数は参考程度にしてください。


以下、関連リンクです。

くりすたるあーと
「くりすたるあーと」公式ページ。
これまでの数々の作品を見ることができます。


Palm de COOL!
世界的に有名な日本のPalm改造系サイト。
京友禅を施した作品も多数投稿されています。


京友禅ペイントコーナー(旧大阪マグマパーム)
京友禅を施したSnapConnect for c3、Palm Portable Keyboardなど、周辺機器多数。
閉鎖になった伝説のサイト「大阪マグマパーム」のコンテンツですが、現在はPAG-Jで公開されています。


Vis-a-Vis(ビザビ)
Palmのカバーや周辺機器に京友禅を施したものを売っているオンラインショップです。
「京友禅シリーズ」というコーナーで見本写真を見ることができます。




おわりに

これだけいろいろ書いておいて最後に言うのもなんですが、本当に実物を見ないと真のすごさはわかりません。
残念ながらデジカメではその美しさを100%表現できておりません。

今後ご自分のPalmを京友禅仕様にしたいと思われている方は、できれば「くりすたるあーと」へ行って制作過程をご自分の目でご覧になることをお勧めします。



更新履歴

2000/08/03 初版
2000/10/01 「作品集&リンク」に椿さんのVisorの写真を追加



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